都市の空は鬱蒼としている。 私はこの空の上には何があるのかって話がとても好きで、お母さんによく聞いていたの。 「████、空の上では虹がかかっていてね」 「その虹を渡って綺麗な国に行けるのよ」 私はその話に心を膨らませた。虹ってなんだろう?クレヨンで虹色を持って考えていたけれど、いつもただの細い線が伸びてそれでおしまいだった。
使い古した落書き帳が私の世界の虹を知りたがっている。チョークを持って黒板に立つみたいに私はクレヨンを持った。 ページをめくって蛇が通った跡みたいな線と目を合わせる。 こんな細い線じゃ渡れない。もっと広くしてあげないと。 本は水の粒がそう見えるだけだって言ってたわ。ならもっとキラキラさせてあげなくちゃ。 初めて描いた虹は心を躍らせた。クレヨンでこんなに綺麗なんだ、虹はもっと綺麗なんだろう! もしかしたら虹色の飴玉が落ちてきて危ないからずっと曇っているのかもしれない。
落書き帳は私の物語をよく聞いてくれる。 そうだ、お母さんにこの物語を聞かせてみよう。 現実はもっと輝いているって知れば笑顔になってくれるはず! 私はいつものように本棚の奥にはしまわず、伝えるべき人に伝えてあげる事にした。
「いつまで空想を抱いているの?そんなくだらない事でお母さんの時間を使わないで頂戴。ただでさえお前はあの忌々しい男の血が入っているんだから。」
都市の空は鬱蒼としている。